Peko's Gun Box
The difference between men and boys is the price of their toys. (by Ichiro Nagata)
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 Indiana Jones and the Raders of the Lost Ark
 レイダース/失われたアークのハンドガン!


オークションに出されたインディー・ガンのレプリカ!
 レイダースのプロップ・ガン?!
 このプロップ・ガンは実はファン・トーイ・ボックス・ショップに 「eBay に落として欲しい物があるのですが出展者がアメリカ国内しか発送しないと言うので代わりに落として日本へ送ってもらえないでしょうか?」と言う依頼をいただき、それで代わりに私が落とした物なのですが、とても興味深いので依頼主の方に許可をいただいてここで紹介させていただきたいと思います。 これはレイダース/失われたアークでハリソン・フォードが使用したガンのレプリカで実銃から型を取ってレジンを流し込んで固めたいわゆる文鎮(と言うほど重くないですが)無可動モデルなのです。 最初これをオークション・サイトで見たとき、これは実際に使われた物から型を取ったものなのかひじょうに興味がありました。 


左側面


右側面


シリンダー・ラッチの下のS&Wのマーク


バレルのマーキング


シリアル・ナンバーは168133


右側のマーキング


かろうじて残っているバレル・トップのマーキング


フレームのトップ・ビュー
 まず思い出すのが以前、ガン誌の記事でステンブリッジのレポートにレイダースで実際に使われたガンが出ていたことです。 レポートには .45 ハンドエジェクターUSサービス・モデル・オブ・1917 とありました。 M1917は皆さんご存知のとおり、第1次大戦の時に1911の不足を補う為にコルトとS&Wで45ACPを使うリボルバーを正式採用した物です。 M1917は5.5インチ・バレルですが、映画で使われた物は4インチに切り詰められ半円形のフロントサイトではなく少し角のあるフロントサイトがロウ付けされていてその部分だけブルーがバレルにかかっていません。 そしてプレーンではなくチェッカリングの入ったグリップでS&Wのメダリオンがついていないと言う物でした。


ガン誌1987年12月号に出ているインディーのガン


45ACPを使うのでフルムーン・クリップが見えます!


トリガーにはグルーブがあります。


取って付けた様な(実際そうですが)フロント・サイト


サイド・プレートにある派手なマーク?
 しかしながら実際にこのプロップをてにとって見ると右のサイド・プレートに何やら派手なマークがうっすら見えています。 どうもポルトガル語(だと後からわかったのですが、笑)が書いてあるようです。 このモデルの素性は何かいな?と調べ始めました。 このガンは第1次大戦が終わった後もS&Wは一般市場にM1917コマーシャル・バージョンを1946年まで作り続けたのですが、1937年にブラジル政府の要請で25000丁のM1917が納入されました。 そのガンはブラジル軍用ではありますが、コマーシャル・バージョンの特徴であるSWのマークがシリンダー・ラッチの下にあり、サイド・プレートにブラジル政府のマークが刻印されてあります。 きれいな写真が たかひろさんの25番 銃器とイラストのサイト と言う所にありましたので紹介させていただきますね。


S&W M1917 ブラジル・コントラクト・モデル


古いリボルバーは味があって良いですね!


プロップ・ガンはこのモデルをもとに作られていました。
 あれ?ガン誌の写真にはこんなマークはなかったぞ!(笑) と言うわけでインディーのガンについてもっと調べ始めました。 やはり世の中には詳しく解説している方もいる物でして、インディー・ファンの方はたくさんいらっしゃるようです。 英語のサイトで詳しく解説されているようなのでここではそれらを参考にガンにだけ絞って日本の方に紹介&解説してみたいと思います。
 実際にレイダース/失われたアークで使われたプロップ・ガン!
 ちょっと気になる映画の中のガンのような記事になってしまいますが、レイダース/失われたアークで使われたS&Wのリボルバーは実は2種類あるのです。 1つはハリウッドのステンブリッジ・ガン・レンタルから貸し出された口径45ACPのM1917で、もう1丁はロンドンのBapty & Co.から貸し出されたS&Wハンド・エジェクター・セカンド・モデル 口径.455で、発砲はこの.455のブランクですべて行ない、発砲シーンではない時はステンブリッジのガンが使われたそうです。
 S&W ハンド・エジェクター セカンド・モデル 口径.455(バプティー・モデル)
S&W ハンド・エジェクター・セカンド・モデル 口径.455 オリジナル・モデル
 ハンド・エジェクター セカンドモデル 口径.455はイギリス政府が44口径のハンド・エジェクター ファースト・モデルに興味を示し、1914年に75000丁ものオーダーを口径.455に直して作られた物です。

 こちらのガンももちろん4インチバレルでフロント・サイトがランプ・タイプ、サイトの手前でバレルが継いであり、それを隠す為にブルーをかけ直してあります。(オリジナルはもちろん5.5インチ・バレル) グリップはメダリオン付きのチェッカーで、バレルの銃口に対する厚さがオリジナルよりかなり薄いことからS&W 1950アーミー・モデルかモデル22のバレルを切ってフロント・サイトごと継いであるのではないか?とありました!(かなり突っ込んだ考察!!) このガンはイギリス政府に納入されたうちの1丁でシリアルナンバーは39871。 シリンダー以外は全部シリアル・ナンバーが合っており、たぶんシリンダーはプロップ会社が以前に交換したものだろうとの事。 バレルには”S&W.455”のマークがありバイスではさんだ後もあるそうです(笑) これらの情報はオークションでこのガンを手に入れた方からの情報でまず間違いないものです。 残念ながらこのガンはイギリスの法律に従い発射機能を無くしバレルを埋められてデコガンにされてコレクターの手にあるそうです。


フロント・サイトはランプ・タイプでバレルの肉厚がオリジナルより薄い(?)バプティー・モデル


グリップはメダリオン付きでバレルは先端まで
ガン・ブルーがかかっています。


発砲シーンは全部バプティー・モデルが使われました!
 S&W M1917 コマーシャル・モデル 口径.45ACP(ステンブリッジ・モデル)
S&W M1917 コマーシャル・モデル 口径.45ACP オリジナル・モデル
 こちらは発砲シーンではない時に使われた物でガン誌でも紹介されたモデルですが、45ACPを使う為、ハーフムーン・クリップ、もしくはフルムーン・クリップを使わなければなりません。 この映画では弾を装弾するシーンがまったく無いのもこういう事情があったのでは?と思います。

 こちらのガンはバレルを4インチに切りサイトを後からロウ付けしてあります。 その為にサイトのベース部分のブルーを剥がしてあるのですが、つけた後もブルーはかけられていないのが特徴です。 M1917コマーシャル・モデルとされているのはシリンダー・ラッチの下にミリタリィー・モデルには無いS&Wのマークの刻印があり、バレルには”S&W D.A.45”とあるからです。 グリップはメダリオンの無い.44ハンド・エジェクター サードモデルあたりのものが付いているようです。 左側のグリップの下の先端が欠けてなくなっていてフレームが少し見えているのも特徴の1つです。 オリジナルの写真を見ていただくとわかりますが、普通、エジェクター・ロッドをロックするピンが前側に見えているのですが、ステンブリッジのガンにはそれが見えないところからピンは亡くなっているとされていました!(細かい指摘!笑) このガンのシリアル・ナンバーは172449で、2007年にオークションにかけられコレクターの手にわたったそうです。


こちらはステンブリッジ・モデル!


右側のグリップはメダリオンがありません。


あれ?ここのシーンはバプティー・モデルが置いてある???


グリップの角が欠けているのが特徴です!
 では「最後の聖戦」のガンは? ウェブリィー・グリーン!
Webley 1896 W.G.Army Revolver
インディーのガンを調べていたら3作目と4作目はウェブリィー・リボルバーとされていましたが、それはマークVIではなく、ウェブリィー・グリーンと呼ばれる珍しい物で軍用ではなくコマーシャル用に作られた物だそうです。(驚) 正確にはWebley 1896 W.G. Army Revolver と言うそうで私はぜんぜん知らなかったガンでした!(汗) ウェブリー社がエドウィンソン C. グリーン氏と開発した口径.455のリボルバーでデザインの特徴はトリガー・ガードの前の部分が少し長く、グリップ・パネルが上まで伸びていません。 スクエア・バットのグリップとラウンド・バット(バード・ヘッド)の特徴的なグリップがあり、インディーが使ったのはバード・ヘッドのモデルでした。 これはまったく私の思い込みでマークVIだと思っていたのでここでお詫びとともに訂正させていただきます。 写真を見ると確かにマークVIではありませんでした!(大汗)


グリップ・パネルが上までありません!


トリガー・ガードの前が少し長い!


よく見るとラウンドバット?


確かにマークVIとは少し違います!


ここのシーンで、はっきりバーズ・ヘッド・グリップが確認できます!
こちらは4作目の写真です。 確かにウェブリィー・グリーンが握られています!
 今回紹介したプロップ・ガンはモデル的にはまったく同じ物ではないにしろ、ひじょうに近いモデルで作られたプロップでシリアル・ナンバーもけっこう近く、大変興味深い物でした。 レポートを承知してくださったO.Y.さん、どうもありがとうございました。

 いや〜、しかし思い込みと言うのは怖いですね〜!(笑) Gun Box のページのウェブリィー・マークVIの記事も訂正させていただきました。 これから気をつけま〜す!


                                               11/10/2008
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