Peko's Gun Box
The difference between men and boys is the price of their toys. (by Ichiro Nagata)
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 ASTRA Model 100 Special
 多弾数シングルカーラムマガジンオート!
 今回のお題はガンプロのトシさんではないですが、全くのマイナーなガンで知らない方も多いと思いますが、この特徴的な形はどこかで見ている方もいるかもしれません。 確かかなり前に中田商店から文鎮モデルが出ていたと思います。 このガンは実はパパ南部を手に入れたときに一緒にもらい受けたものでひと目見て文鎮モデルを思い出しました。(笑)


アストラ モデル100 スペシャル


妙に長いグリップ!


こちらが中田商店文鎮モデル
 そしてその文鎮モデルを見た時から気になっていたことが1つあったのです。 それはもちろんフレームに刻印された「報國124號」の文字です。 検索しても国に献上された!ぐらいしかわからず、このガンは1度は日本にあったのだなあと思いを巡らせておりました。 検索すると必ず特攻隊と思しき兵士の胸にむき出しでさされている写真が出てきます。 中田商店の文鎮モデルはM1916となっていて自衛隊の土浦で六人部氏が取材されて作ったと言われています。 そのモデルと全く同じ番号が刻印されているので謎は深まるばかりです。 
 訂正!
 上記に「報國124號」の文字と書きましたが、正確には「報國第124號」で尚且つよ〜く見てみると「報國第134號」の間違いではないかということがわかりましたのでここに訂正させていただきます。 文鎮モデルの「第」の字が抜けているのでてっきり同じ番号だと思い込んでいました。(大汗)


この写真に見覚えのある方もいるのでは?特攻隊と紹介されることが多いですが実は日中戦争時、
重慶への爆撃隊の援護に出撃する大石英男一飛曹(零戦隊}の写真だそうです。 
氏の所属する一二空はアストラをまとめて購入して支給していたそうですよ。


「報國第134號」の文字!


Automatic Pistol   CAL 7.65
ASTRA Patent の文字(ちょっと見えにくい)


プルーフマーク


シリアルナンバー


スライドにも下3桁


チャンバーの刻印


銃口部分


後に少し下がった(?)フロントサイト


リヤサイトはV字


バレルを回して分解


ヨーロッパ式のマグキャッチ


セフティーはスライドストップと兼用


使用弾は32ACP
 アストラ M100 スペシャル
 このガン自体はブローニングタイプのガンをコピーしたもので分解方法も同じようなものです。 装弾数を増やすためにただグリップを伸ばしたという発想は考えようによってはすごいですね! セフティーは前方に回すとかかりなおかつスライドストップも兼ねています。 コルトのM1903(32オート)に似ていてハンマー内臓式になっています。


バレルにはなぜか333の文字?


スライドにも333の文字


フレームにもあるのでマッチングナンバー?


簡単なディスコネクター構造


スライド側の溝で作動します


ハンマー内臓式です。


バラしたはいいけど組むのは大変!2度とやりたくない!(爆)


32オートによく似ております!
 そこでガンプロに記事を書いたときにお世話になったガンプロで「GUN HISTORY ROOM」を執筆していらっしゃる杉浦久也氏にこのアストラのことを質問させていただいたのです。 そうしたら詳しいご回答をいただきました。 以下にそれを紹介させていただきます。
 お尋ねのアストラの件

 昭和6(1931)年の満州事変から終戦までの間、日本の民間では国防献納運動というものが盛んでした。
 これは、小学校をはじめとする学校や、企業、組合、団体、個人などが募金によってお金を集め陸海軍に兵器を寄贈(献納)する運動です。 今日、小学校で情操教育用として買われているウサギも、元はこうした運動の一環として寒冷地で戦う兵士の防寒用に陸海軍に毛皮を献納するのが目的で飼育され始めたのです。
 献納された兵器の詳細は、小学生が献金した豚の貯金箱が三八式の小銃弾ワンクリップに化けたり、お金持ちの個人や大規模な団体なら戦車や航空機まで多岐にわたって献納しています。

 送っていただいた写真のアストラもそうした経緯で集められた募金で購入され、献納時に報国〇號の刻印が撃たれたものと思われます。 ちなみに陸軍に献納された兵器には「愛国」が、海軍に献納された兵器には「報国」が打刻されました。 従ってこのアストラは、海軍に献納されたものと考えられます。

 アストラなどスペイン製の、いわゆるエイバルピストルは、大正末から昭和初頭の数年間に約60万挺強が日本の銃砲店に正規輸入されています。 これらは神戸を中心とする悪質銃砲店が、国内遠隔地や海外日本領の銃砲店に転売したことにして警察の帳簿点検の目をくぐり(籍抜け)、当時日本の租借地だった大連などを経由して中国に密輸されました。 これはこの密輸が、刑罰が緩く利益が大きかったことと、中国の内戦を煽ることが国益にかなうと考えられたという背景があります。 その残余が国内の銃砲店に滞留しており、このような献納拳銃や将校用私物拳銃として日本軍に利用されるとともに、中国に密輸されたものが再び日本軍に鹵獲されるなどの経緯で日本軍用になったものもあるようです。

 戦時中米国の雑誌ライフの表紙になった、有名な海軍の特攻隊員が長いグリップの拳銃をむき出しでベルトに差している写真でもこのアストラを使っており「報国」の文字も見えます。 キャストのモデルガンになったものは、土浦の自衛隊武器学校の所蔵品から中田商店時代の六人部さんが元型を起こしたものですので献納兵器であったと考えられます。

 また未確認情報ですがアストラは、日中戦争がはじまって戦時国際法により、戦争当事国である中国に拳銃の輸出ができなると、日本に法人を設け、もう一方の戦争当事国である日本から中国に拳銃を輸出するという離れ業を行ったと漏れ聞いています。 この分には「日国製」の刻印があったそうです。

 ご所有のアストラ100は、スペインから日本の銃砲店に正規輸入されたのち、「報国」刻印があることから国防献納運動で海軍の所有となり敗戦で米軍のワースーベニアとなってアメリカに居着いたものと考えられます。

                                            杉浦久也
 この回答をいただいた時、まるでガンプロの記事を読んでいるかのようで感動しました! 丁寧にご回答をいただきこの場でお礼を申し上げます。 ありがとうございました。 杉浦氏と何度かメッセージをやり取りしているうち、私が新大阪にあった「大坂ガンシップビル」でアルバイトをしているころにもしかしたらお会いしているかもということもわかり懐かしい思いも蘇りました。(笑)


マガジンには12発入ります!


実は専用と思しきホルスターもついてきました!
 今回は全くマイナーなガンでしたが以前から気になっていたことがわかりすっきりしました。 このガンがどういった経緯で今ここにあるのかはわかりませんが戦争中は旧日本軍の兵士の手にあったことは間違いなさそうということがわかりなぜか感慨深かったです。 当時、ハンドガンは戦闘用というよりはぶざまに捕虜にならないための自決用なのだと何かに書いてありましたが、この多弾数ハンドガンはそういった用途ではなかったのかもと思いを馳せますね。


                                                 11/10/2020
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