Peko's Gun Box | |
The difference between men and boys is the price of their toys. (by Ichiro Nagata) |
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BONNIE & CLYDE (1967) 俺たちに明日はない |
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ボニーとクライド |
今回のお題はリクエストをいただいていた「俺たちに明日はない」を取り上げます。 皆さんご存知かと思いますが、この主人公のボニー・パーカーとクライド・バローは実在した人物で1930年代にアメリカで何件もの銀行強盗を働いて13人もの人間を射殺したギャングだったのですがテキサスレンジャーのフランク・ハマー率いる6名によって待ち伏せされ最後はたくさんの銃弾を受けて射殺されたのは有名な話です。 これも結構古い映画ですが、大胆な性表現(今では大したことないですが!)やリアルな射殺シーンを表現した映画で当時はかなり話題になった映画なのです。 |
S&W Hand Ejector ? |
映画の内容は他の方がたくさんレポートしているのでそちらを見ていただくとして彼らの銃を見ていきましょう。 といってもリボルバーとショットガン、お決まりのトンプソンサブマシンガンぐらいしか出てこないのですけど!(笑) まず目に入ってくるのはクライドの手に握られている S&W のリボルバーですね。 私は最初M-10だと思い込んでM-10と紹介したのですが読者の方からご指摘をいただきここに訂正をさせていただきます。 写真を拡大してみると気が付くのは5スクリューモデルということとハンマーの形ですね。 この辺からM-10になる前のモデルということがわかります。 そしてエジェクターロッドの先が少し大きくなっているのとフレームの刻印が MADE IN U.S.A. の1列しかないのでたぶんM1905のハンドエジェクターというのが正解のようです。 |
![]() SMITH & WESSON Model 1905 Hand Ejector ? |
![]() 銀行に家を取られたおっちゃんにリボルバーを撃たせるシーン |
![]() ボニーの手にはニッケルメッキのハンドエジェクター? |
![]() 今までリアルに被弾するシーンはなかったそうです。 |
COLT NEW SERVICE |
クライドのベルトに差したもう1丁のガンはコルトのニューサービスでしょうか? フランク・ハマーから奪ったガンもそうみたいです。 このガンも3丁ぐらい確認できます。 |
![]() グリップにメダリオンが見えます |
![]() フランク・ハマーから奪った銃 |
![]() スタッグホーン・グリップが付いています。たぶん45ロングコルト。 |
COLT POLICE POSITIVE |
ボニーの持っているガンは S&W かなと思ったのですがバレルの下のエジェクターロッドをロックするピンが無いのでこれはコルトですね! 見た目がハンドエジェクターに似ていますがたぶんコルトのポリスポジティブでしょう。 警官の手にも握られています。 |
![]() エジェクターロッドが浮いているのでコルト! |
![]() 当時はみんなリボルバー! |
![]() コルトの硬質ラバーグリップ? |
COLT 1911A1? |
銀行強盗のシーンで1度だけ1911が出てくるところがあります。 クライドが右手にハンドエジェクター、左手に1911を握っているシーンです。 1911は1度も発砲するシーンはありませんでしたが、トリガーガードの後ろが斜めに光っていてどうも1911A1のように見えます。 |
![]() トップまで光っているのでたぶん戦前のコマーシャルモデル? |
![]() これではちょっとわかりずらい!(笑) |
![]() トリガーの後ろが少し光っているのでたぶん1911A1? |
THOMPSON Model 1928A1 |
クライドが車の前で構えているのはご存知トンプソンサブマシンガンですがリヤサイトを見るとライマンサイトではなく軍用のL字型のサイトが溶接してあります。これはM1928A1の軍用仕様ですね。 M1928A1には軍用フォアエンドが付いているのでそれをバーチカルグリップに交換してあるということでしょう。 後からふつうのM 1928 と一緒にちょこちょここのガンは出てきます。 |
![]() リヤサイトがただの鉄板! |
![]() これもたぶん同じもの! |
![]() ボニーが撃つのはM1921かM1928? |
![]() カッツコンペンセイタ―からの吹き出しが見て取れます。 |
RIFLE &SHOTGUN |
ライフルはウィンチェスターのM1892でしょうか? ショットガンはM1897にサイドバイサイドのダブルバレルショットガンですね。 |
![]() ウィンチェスター M1892 |
![]() こちらはM1897ショットガン |
![]() サイドバイサイドショットガン |
最後のフランク・ハマー達に射殺されるシーンは当時としては衝撃的でした。 実際にボニーとクライドが乗っていたフォードのV8セダンはロスアンジェルスからラスベガスに向かう15号線のカリフォルニアとネバダの州境にあるプリムという所のウイスキーピーツというカジノの中で見ることができます。 無数の弾痕がその時のすさまじさを物語っていますね! |
![]() 印象に残るシーン! |
実際に彼らが乗っていたフォード |
穴だらけです! |
貫通しているのはたぶんライフル弾 |
今でも見ることができます。 |
MGCトンプソンなのはご愛敬! |
当時の写真です。 |
弾痕で同じ車なのがわかります。 |
クライド・バローの死亡診断書 |
当時の貴重な動画が残っています。 Bonnie and Clyde film footage |
![]() ボニー・パーカー |
![]() クライド・バロー |
![]() キャプテン フランク・ハマー |
![]() 二人を射殺したフランク・ハマーと5人のメンバー |
実際にボニーとクライドが所持していたガン! |
ボニーとクライドについては以前から記事にしようと思っていました。 それは以前、彼らが射殺された時に持っていたガンがオークションにかけられたという記事を見たからです。 |
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ボニー・パーカーが持っていたのはコルトディテクティブスペシャルの初期型で射殺された時、太ももの内側にテープで張り付けてあったそうです。 クライド・バローのはコルト1911で腰のズボンのベルトに差してあったそうです。 ポケットには予備のマガジンが入っていたそうですが、マガジンボトムにあるランヤードリングは削り落としてあったそうです。(なぜ?) シリアルナンバーからテキサスのナショナルガード(州兵)に納入されたもので10丁の1911やM1918BARが大量に盗まれた中の1丁だということです。 写真からフレームの UNITED STATES PROPARTY の文字は削りとられているようですね。 |
![]() 二人が持っていたガン |
![]() コルトディテクティブスペシャル |
![]() コルト1911 U.S. アーミー |
![]() スライドにはMODEL OF 1911. U.S. ARMYの刻印! |
本当は.UNITED STATES PROPERTY の刻印が入っていた! |
コルト1911 U.S.アーミーミリタリーモデル |
これらのガンはフランク・ハマー氏が国から譲り受け所持していたもので1997年に1度オークションにかけられていますが2012年にふたたびオークションにかけられたそうです。 予想落札価格はどちらも10万ドルでしたが実際はボニーのディテクティブは26万4千ドル、クライドの1911は24万ドルでテキサスのコレクターに落札されたそうです。 ボニーのガンはシリアルナンバーが削りとられていたのでATFが登録のため新たにグリップの下にシリアルナンバーを入れたそうです。 |
![]() クライドの1911のシリアルナンバー |
![]() このシリアルナンバーのガンがアメリカ政府に納入されたことを証明する書類 |
![]() このガンがアメリカ政府からフランク・ハマー氏に贈与されたことを証明するハマー氏の息子さんの書簡 |
![]() ボニー・パーカーのガンに新しく入れられたシリアルナンバー |
彼らの車の中からはM 1918 BAR が3丁、レミントンモデル11ショットガン(20ゲージ)1丁、ウインチェスターM1901レバーアクションショットガン(10ゲージ)1丁、コルトM 1903 ポケットハンマーレス(32ACP)1丁、ディテクティブスペシャル(38)1丁、コルトベストポケット(25ACP)1丁、コルトM 1909 リボルバー(45COLT)1丁、コルト1911((45ACP)7丁、そして弾薬が3千発以上出てきたとか? トンプソンはその中になかったのですね。 |
BARや1911など |
![]() ボニー・パーカーのレミントンショットガンも写っています。 |
写真に写っているボニーのレミントンのモデル11はストックとバレルが短く切り落とされています。 ストックのエンドには殺害した人数の7本の筋が刻み込まれていたそうです。 BARの1丁はこれもストックとバレルが短くされていて20連マガジンを2つ溶接して40連マガジンに改造してあったそうですよ。 |
![]() ボニーのショットガン |
![]() 切り詰められたブローニング・オートマティック・ライフル |
トンプソンの話! |
1930年代が舞台のアメリカのギャング映画ではトンプソンサブマシンガンはなくてはならない存在ですが、実際はそんなことはなくハリウッド映画で派手に弾をばらまくシーンがみなさんにその姿を焼き付けたというのが本当のことのようです。 トンプソンの最初のモデル、M1921はオートオーディナンスから発売されましたが自社工場は当時はなくコルト社に委託製造してもらっていました。 委託製造の上に削りだし部品ばかりで製造コストが高く当時の値段で1丁$200(今で言う$3000ぐらい)で売られました。 最初に15000丁のトンプソンが作られましたが1927年の時点で輸出を含めても6000丁しか売れず9000丁がまだ売れ残っていました。 つまり高根の花で警察にあったとしても各警察所に1〜2丁あれば良い方だったそうです。 |
![]() トンプソンM1921 |
1927年になって軍(US NAVY)から500丁の注文がありました。 ただし発射速度を落とすのが条件で、ボルトの質量を大きくしてM 1928として納入されました。 しかしそれはM 1921が9000丁も余っているのでM 1921を改造するという形で納入されました。 ですのでM 1921の1の部分に8をスタンプしてM 1928 として納められたのです。 それは1939年ごろまで在庫がなくなるまで続けられたそうですが、第2次大戦がはじまるころには軍からの大量の注文で会社が持ち直したということになりました。 そこからミリタリーモデルのM1928A1、そしてM1、M1A1となっていくのです。 ちなみにM1928A1のリヤサイトはL字型の鉄板ですが最初期のM1928A1にはライマンサイトが付いていたそうなのでコンバットのサンダース軍曹が持っていたのはそれだったという設定でしょうか?(笑) |
![]() トンプソンM1928 実は見た目はM1921と全くわからない!(爆) |
つまりはボニーとクライドが台頭した1930年代初頭はトンプソンはそんなに出回ってはいなかったというわけです。 当時のギャングの御用達はBARかレミントンのモデル8のライフルだったそうですよ。 なぜかといいますと軍の倉庫にそれらがたくさん納入されてあったからでそれを盗んで使用したからです。 |
取り締まる側のテキサスレンジャーやFBI もBAR やそれの改造版のコルトモニターを好んだそうです。 なぜならBAR の強力な30−06の弾の方が車のドアやエンジンルームを貫通できるからでトンプソンの拳銃弾では頼りないということだったそうです。 フランク・ハマー氏が使用したのはレミントンのモデル8でマガジンを改造して15発入るようになっていたそうです。 |
![]() レミントンモデル8に改造15連マガジン |
![]() BAR改 コルトモニター |
いつものようにちょっと映画から話が外れてしまいました!(爆) ウォーレン・ビューティーとフェイ・ダナウェイなんてちょっと美男美女すぎるような気がしますが、実際のボニーとクライドは富裕層が使う銀行を主なターゲットとしていたので庶民からは英雄視されていたようです。 最近ではテキサスレンジャーのフランク・ハマー氏側から見た映画でNETFLIXで配信されているケビン・コスナー主演の THE HIGHWAYMAN(2019) がリアルな描写で描かれています。 珍しいコルトモニターも出てきますので一見の価値がありますよ! 4/19/2022 |
![]() コルトモニター |
![]() ケビン・コスナーは史実に忠実にレミントンモデル8 |
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